本年、両子寺は20年ぶりに「ゆく年くる年」で放送されました。その様子を報告いたします。
放送時間は約3分ほどですが、その為の準備は思った以上に大掛かりなものでした。
12月29日より照明のためのやぐらを設置。
カメラ用のクレーンも組みあがりました。
30日当日前夜、護摩堂内では「子授け申し子祈願」の紹介のためのセッティング、打ち合わせが行われました。スタッフさんも総勢50名来山し、日没から賑やかな夜となりました。
山門、仁王様もライトアップされ、とても幻想的な景色が現れました。スタッフさんも大忙し。
護摩堂もライトアップ。横や後ろからも照明を当てているので、夜の中に立体的に浮かび上がっています。この日は満月で月の光のスポットライトに照らされているようでした。
31日当日は雪になり、予定していた除夜の鐘申込者が来られないという事態も起きましたが、雪が降った夜の境内はライトアップされ、一層幻想的でした。今回メインの除夜の鐘。鐘を突くタイミングの打ち合わせ。現場に緊張感が走ります。財前檀信徒会会長(右)と大分の小河さん一家。
焚き火にあたる宇佐住総代さん一家(右)、折山さん一家(左)本堂の屋根に雪が積もっています。
 今回は特に現在の少子化社会において、両子寺に昔から伝わる「子授け申し子祈願」に焦点を当てての放送でしたが、お陰さまで多くの参拝者の協力を得、無事に撮影を終えることができました。初詣の準備と重なり例年以上に慌しい年末となりましたが、特に当山役員、総代さんを始めとして檀信徒の結束を深めた大きな行事となりました。慣れない山奥の現場で一生懸命努めてくださったNHKのスタッフの方がたにも心より感謝申し上げます。


 この度放送された、両子寺の梵鐘は「平和の鐘」と命名されています。これはもともと古くからあった当山の梵鐘を第二次世界大戦中に軍需のため没収され、戦後、当山第64世豪延代に再鋳造されたものです。来年で第七回忌を迎える老僧ですが、戦争からの引き上げの際は焼け跡の広島を歩いて大分まで帰ったそうです。「戦争は全く無意味であり、平和だからこそ人として安心して生きることができる」という老僧や檀信徒の切なる思いが込められ造られたのが両子寺の梵鐘です。
子授けも、育児もその根底には平和な世の中があってのことです。
現在では毎日この地に時間を告げる両子寺の梵鐘ですが、この鐘の音がいつまでものどかな国東の地に響くように平和な世の中にしていかなければならないと実感しております。
両子寺 法嗣 寺田豪淳